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- エリアマップの作図に特化した『KCAMP』で手作業を削減し、業務効率化を実現。
<ローカル5G>提供も視野に取り組みを加速していきます
エリアマップの作図に特化した『KCAMP』で手作業を削減し、業務効率化を実現。
<ローカル5G>提供も視野に取り組みを加速していきます
- プロフィール
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阪神ケーブルエンジニアリング株式会社
通信事業部
小野 晋司氏、井上 裕士氏、前川 寛子氏(写真左から)
所在地:兵庫県西宮市
ホームページ:https://hce.hanshin.co.jp/
阪神ケーブルエンジニアリングは、阪急阪神ホールディングスグループに所属し、ケーブルテレビ工事、鉄道通信工事を主業務としてきた。新規事業の地域BWA(地域広帯域移動無線アクセス)事業では、自社保有しているセンター設備を全国各地のケーブルテレビ事業者へ提供している。構造計画研究所(KKE)の「KCAMP(キャンプ)」を早くから活用し業務効率化に役立てているという。
地域BWAサービス提供で高いシェアローカル5Gの提供も準備を進める
貴社は国内の地域BWA市場ではリーディングカンパニー的な存在です。多くのお客様から支持されている理由はどこにありますか。
小野氏:当社は阪神電気鉄道の100%子会社として発足し、電気通信工事、電気通信事業などの事業を行っています。2002年から電気通信事業の認可を受け、光ケーブルを用いた有線電気通信事業を開始し、2015年には地域BWA事業を開始しました。サービスの要である「コア設備」を自社で保有しているのが大きな特長です。
当初は阪神グループ企業向けにサービスの提供を行っていましたが、これらの事業で培った知見をもとに、現在は全国約60社のケーブルテレビ事業者へ、センター設備をクラウドで提供しています。
小野 晋司氏
井上氏:ケーブルテレビ事業者などの地域通信事業者様が、コア設備を自前で構築しようとすると初期投資の負担も大きくなりがちですが、当社のサービスをご利用いただけば、コストを抑えながら事業を開始することができます。また、地域の需要に応える基地局の増設などにも柔軟に対応可能です。
前川氏:私は営業担当として日々、お客様のニーズをヒアリングしています。地域通信事業者様の中には、新規事業で地域BWAに参入される例も少なくありません。社内に電波や無線に詳しい人材が少ないという企業様もありますが、当社では免許申請業務などもきめ細かくサポートしており、多くのお客様にスムーズに事業を開始できたと評価いただいています。
政府は高速通信規格「5G」の普及を目指し、企業や自治体が導入しやすくする新たな制度の導入も進めています。貴社におけるサービス提供に向けた進捗はいかがですか。
井上 裕二氏
井上氏:当社では、地域限定の高速通信規格「ローカル5G」の街づくりへの活用を加速するため、阪急阪神ホールディングスグループの各社と連携し、鉄道や商業施設などで実証実験を行っています。
現在、ローカル5Gの利用は「自己土地利用」が基本です。他社の無線局に混信を与えないようにすることが大事ですが、なかなか容易ではありません。総務省ともコミュニケーションを図りながら改善を進めているところです。
前川氏:ローカル5Gに対するお客様の関心は高いですね。「どんなことに使えそうか、他社の新しい事例が出たらすぐに教えてほしい」とおっしゃるお客様もたくさんいらっしゃいます。
小野氏:BWAからローカル5Gへの変化が求められています。これまでは自己土地での利用が前提となっている点や、コア設備から基地局・端末にいたるまでコストが高く、電波伝搬距離やユーザ収容数など、パフォーマンスが見合わないため、導入に踏み切れていませんでした。しかし、機器の性能向上や規制の緩和などもあり、導入に対するハードルも下がっています。ローカル5Gのサービス提供に向けて準備を進めている最中です。
前川 寛子氏
「KCAMP」を活用し、免許申請に必要なエリアマップを容易に作成
KKEの「KCAMP」は、ローカル5GやBWAの受信電力分布を計算し、カバーエリア図を作成するツールです。貴社で導入された理由はどこにあったのでしょうか。
井上氏:ローカル5GやBWAを導入するには、当該地域での無線局免許を取得しなければなりません。免許申請時に添付資料としてカバーエリア図を提出する必要があります。これまでも受信電力分布を計算できるツールは使っていたのですが、エリア描画に手作業の部分も多く手間がかかっていたことから代替ツールを探していたところ、KKEの「KCAMP」があることを知り、採用しました。
小野氏:「KCAMP」はローカル5Gの28GHz帯(ミリ波)、4.6GHz帯(Sub6帯)にも対応しています。また、総務省審査基準変更時などの計算式変更なども可能だということで、当社の事業拡大も見越して導入を決めました。
「KCAMP」は基地局から特定の場所に届く電波のカバーエリアと調整対象区域のエリア図が容易に作成できます。その点では、免許申請時のカバーエリア図作成に特化したツールとも言えます。使い勝手はいかがですか。
井上氏:基地局の設置予定場所の座標などの情報を入れるだけで、地図を背景としたエリア図を作成できます。CSVファイルを読み込ませることで複数の基地局のデータをまとめてインポートしエリア図を作成するといったことも容易にできます。シミュレーションによく使うテンプレートを保存できるといった機能も便利です。
前川氏:旧ツールは、機能は充実していましたが、使いこなすには一定の知識が必要で、属人的なところもありました。私はエンジニア出身ではありませんが、「KCAMP」は、ユーザーインターフェース(UI)が分かりやすく、直感的に利用できます。お客様も理解しやすいと好評です。
「KCAMP」開発にあたっては、ファーストユーザーとして、β版段階からご利用いただきました。どのようなご意見、ご要望をいただいたのでしょうか。
井上氏:KKEには、「Wireless InSite」のような高度な電波伝搬解析ツールがあります。複雑な伝搬をシミュレーションしたり性能を検証するなら、これらのツールを活用すればいいので、「KCAMP」はむしろ、ローカル5GやBWAの免許申請向けに特化した使い勝手のいいシンプルなものにしてほしいとリクエストしました。
前川氏:細かな要望も形にしてくれました。例えば、基地局に名前を付けられるラベル機能や、アンテナの高さ・向きなどに応じたエリア変更、複数の基地局の干渉のシミュレーションなどです。相談するとすぐに「次のバージョンで対応します」と答えてくれるので、とても助かりました。
エリア描画イメージ
事業計画の拡大のためにKKEの電波伝搬シミュレーションに期待
今後、貴事業をどのように発展させていくお考えでしょうか。また、そのために、「KCAMP」およびKKEにどのような期待をされていますか。
前川氏:引き続き、地域通信事業者様の相談相手として、きめ細かなサポートを行っていきたいと考えています。KKEにはお客様の声を形にバージョンアップしてほしいですね。
井上氏:ローカル5Gサービスを展開するには電波伝搬シミュレーションが不可欠です。当社もKKEの「Wireless InSite」を導入していますが、電波伝搬シミュレーションの精度が事業計画に大きな影響を与えますので、KKEは引き続き頼りにしています。「KCAMP」と「Wireless InSite」を使い分けながら、より質の高いサービスを生み出していきたいと考えています。
小野氏:当社グループとしては、現在の4Gエリアを拡大するとともに、ローカル5Gを導入し、サービスの拡充に努めたいと考えています。
KKEはさまざまな解析・シミュレーションに強みがあり、電波伝搬シミュレーションでも実績が豊富です。一方で、審査基準の改定や利用規制の緩和なども行われていますが、KKEには、これらもしっかりとキャッチアップしたうえでツールでの対応も行っていただいています。引き続き、さまざまなアドバイスを期待しています。
オンライン地図上に描画したカバーエリアと調整対象区域は 、免許申請時の添付資料や他事業者との調整用データとして利用可能です。