ピラミッド型電波吸収体の電磁界解析と電波伝搬解析の連成解析
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背景と目的
背景
- 広帯域特性を有する多層吸収体を用いた電波暗室内の解析は電磁界解析を行うことが一般的である。
- 波長に比べて非常に大規模な空間ではレイトレース法による解析も行われている。
- 通常レイトレース法では、ピラミッド型吸収体を複数層に分割近似した等価複素比誘電率により、 正規反射方向の吸収量を加味している。
ピラミッド型吸収体 マルチレイヤ:誘電体の体積比を考慮した等価複素比誘電率
吸収体解析の問題点
解析の目的
- 吸収体の正規反射方向以外の全方向の吸収量を事前に電磁界解析し、レイトレース法で正規反射方向以外のパス(最適反射点)も考慮する手法を提案する。
提案手法の全体フロー
- 電磁界解析(FDTD)により、吸収体の反射係数データベースを作成
- 最適反射点位置を検索し、大きな反射量のパスを作成
- FDTDにより散乱断面積(RCS)を求め、RCSからピラミッド型吸収体の反射量を求める。
- 正規反射方向と入射方向にエネルギーが強いため、金属板のRCSと電波吸収体のRCSの比を取り、ピラミッド型吸収体の反射係数を求め、DB化する。反射係数は入射角度と出射角度の関数となる。
結果
暗室モデル結果 z=1.1m
- 全ての計算手法の結果で、ほぼ同じ結果となっている。
- 多層平板近似は振動がみられないが、提案法とFDTD法は振動がみられる。
暗室モデル結果 z=1.1m 自由空間損失との偏差
- FDTD法では自由空間損失との差が大きく、振動が激しい。
- 多層平板近似のレイトレース法は、送信点近くの振動が一様に減衰しているのに対して、提案手法では局所的なレベルの変動がみられる。
- 送信点から遠い場所では、提案法の方が自由空間損失との差が大きく、FDTD法に近づく。ピラミッド型吸収体の形状による正規反射方向以外のパスを考慮した影響がみられる。
参考文献
- 吉敷由起子,チン ギルバート シー, 津田顕祐, 蓮沼輝男, 石塚一男,"3GHzのピラミッド型吸収体の最適反射点検索によるレイトレース法の電波暗室解析", 2014 信学ソ大, B-4-23, Sept. 2014.
- 吉敷由起子,チン ギルバート シー, 津田顕祐, 蓮沼輝男, 石塚一男,"3GHzのピラミッド型吸収体の最適反射点検索によるレイトレース法の基礎解析", 2014 信学総大, B-4-8, Mar. 2014.