工場内の無線環境評価

背景と目的

背景

  • 近年のIoT化に伴い工場内でも無線を用いた状態監視システムを導入することによって生産性を向上させる動きが活発である。
  • しかし、機械や人の動きが活発な工場では、無線環境の変動が頻繁かつ大きく、無線通信の不安定化が危惧される。
  • 無線通信トラブルを未然に防止するためには、シミュレーションにより無線環境の事前評価を行うことが重要である。

解析の目的

  • シミュレータによる無線環境の見える化によって、工場内への無線システム導入の問題点を事前に把握する。
  • 周波数やセンサー設置場所の違いによる無線環境への影響をシミュレータで評価する。

使用する解析ソフト

  • 3次元電波伝搬シミュレータ Wireless InSiteを用いて解析する。

解析条件

  • 工場の天井中心に送信点(アクセスポイント)を設置した時の通信環境をレイトレース法※により解析する。
    ※レイトレース法とは、幾何光学的理論に基づき送信点から受信点へ到達する電波を、伝搬距離だけではなく構造物も考慮して追跡する手法で、電波伝搬解析にも広く使われています。
  • 周波数は下記を想定し、比較する。
    • 920MHz(LPWAを想定)
    • 2.4GHz(WiFiを想定)
  • 受信点(センサー)は下記のように配置した。
    • 床から9.8m(送信点直下)
    • 床から5m(比較用)
    • 床から1.5m(作業台上にセンサーを設置した想定)
    • 床から30cm(足元にセンサーを設置した想定)
  • アンテナは半波長ダイポールを使用。

解析の結果

床からの高さ、周波数ごとの受信レベルマップ

  • 920MHzの方が、2.4GHzに比べて約5~11dBm程度受信レベルが高い。
  • 天井に送信機があるため、床に近いほど受信レベルは低くなる。
  • 送信機に対して、天井クレーンや棚の裏側では受信レベルが低くなる傾向。

什器の影響

  • 大型の機械を導入した際の、受信レベルの変化を解析した。
  • 送信機に対して、導入した大型機械の裏側では、40dBmほど受信レベルが下がった。

まとめ

  • 周波数による受信レベルの違いが見られた。
  • 送信点と什器の配置によっては、電波がつながりにくい場所があることがわかった。
  • 新しく機械を導入するときなど、環境の変化が受信レベルに大きく影響することがわかった。
  • 無線の状況を見える化することで、状態監視システムのセンサー配置の検討などに活用できる。
  • 電波伝搬シミュレーションには、3次元電波伝搬シミュレータ Wireless InSite を用いた。

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