コラム技術コラム2026.03.17

OAIBOX のための 5G 周波数設定

OAIBOX のための 5G 周波数設定

【はじめに】

本記事では、5Gモバイル通信における周波数設定の基礎を概説するとともに、OAIBOXの周波数設定のための計算ツールをご紹介します。あわせて、実際にOAIBOXで周波数設定を行い、簡易スペクトラムアナライザを用いた動作確認についても報告します。なお、OAIBOXでは柔軟に周波数を変更できますが、運用にあたっては電波法を遵守し、シールドテント内や有線接続など適切な環境でご利用ください。

【5G周波数とは】

5Gでは、周波数範囲としてFR1(410 MHz - 7125 MHz)、FR2(24250 MHz - 71000 MHz)が定義されており、その中でさらに細かな「バンド」が規定されています。3GPP TS 38.104(5.2項)にバンド一覧が示されており、日本国内のFR1においては、主にn1, n3, n28, n40, n41, n77, n78, n79が使用されています(Wikipedia)。これらのバンドは、通信事業者やローカル5G(プライベート5G)用にさらに細分化されて割り当てられています。

図1. 3GPP TS 38.104 (Version 16.22.0) Table 5.2-1 抜粋

同仕様書5.3項および5.4項には、バンド内の詳細な周波数設定についても記載があります。
中心周波数はNR-ARFCN(Absolute Radio Frequency Channel Number)、
同期信号ブロック(SSB)の中心周波数はGSCN(Global Synchronization Channel Number)で定義されます。

【OAIBOXにおける5G周波数設定】

OAIBOXの周波数設定はダッシュボード上のgNB(またはDU)画面内「Configuration」パネルから行います。標準的な設定はプリセットから選択できるほか、任意のパラメータを追加する「カスタム設定」も可能です。
OAIBOXでのカスタム設定時には、「3GPP Frequency Band」としてバンド番号、GSCNに対応するSSB ARFCN、および帯域の基準周波数となるPointA ARFCNを設定し、あわせて「Bandwidth」にて帯域幅を設定します。
設定結果の詳細は「Details」パネルで確認できます。

図2. 基地局設定画面

【OAIBOXのための5G周波数設定計算(n77, n78, n79)】

SSBやPointAのARFCN算出は複雑です(特にバンド n79)。以下の「5G周波数設定計算機」は、5Gバンド・中心周波数・帯域幅を入力するだけで、これらを一括で計算できるツールです。
本ツールは、SSBとCORESET#0、およびシステム帯域の周波数軸上での位置関係を可視化する機能を備えており、CORESET#0の配置まで考慮したGSCNの設定可否判定が可能です。

※OAIの実装上の制限により、一部の計算結果が適用できない場合がありますのでご注意ください。
OAIBOXのための5G周波数設定計算(n77, n78, n79)

 

【検証環境】

計算ツールで導出した設定値の妥当性を検証するため、以下の環境を構築しました。検証ではOAIBOXに接続した5G端末でスピードテストを実行しつつ、簡易スペクトラムアナライザで該当帯域のスペクトラムを観測しました。
なお、検証は外部への電波漏洩を防ぐため、シールドテント内にて実施しています。

表1. 使用機材一覧
機材 機種 台数
基地局 OAIBOX Open RAN Split 8 1
基地局SDR USRP X310 + UBX-160 1
端末 RMU500-EVB kit(モジュール:Quectel RM500Q-GL) 1
端末制御PC ノートPC 1
簡易スペアナ tinySA Ultra 1

 
 本検証で使用したパラメータは以下の通りです。

表2. 通信諸元
パラメータ 設定値① 設定値② 設定値③
5Gバンド n79 n79 n79
中心周波数 [MHz] 4850 4850 4750
帯域幅 [MHz] 100 40 100
SSB ARFCN 721824 723360 715680
Point A ARFCN 720056 722060 713390
アンテナ構成 SISO SISO SISO
TDDスロット構成 DDDFU DDDFU DDDFU

【検証結果】

簡易スペクトラムアナライザで計測した結果を以下に示します。設定した周波数範囲に明確な信号を確認でき、計算ツールで導出したパラメータを用いて意図した帯域で正常に通信が行われていることが実証されました。

図3. 設定①(4800-4900 MHz)

図4. 設定②(4830-4870 MHz)

図5. 設定③(4700-4800 MHz)

【まとめ】

本稿では、OAIBOXにおける5G周波数の設定方法と設定値計算ツールをご紹介しました。構造計画研究所では、OAIやOAIBOXを活用した5G/Beyond5Gの研究開発や実証実験のご相談も承っております。ご興味をお持ちの方は、弊社相談窓口までお気軽にお問い合わせください。

【最後に】

最後までお読みいただきありがとうございます。本記事で紹介した「5G周波数設定計算機」のソースコードはGitHubにて公開しています。計算モデルの改善提案やフィードバックなどは、Issue等でお寄せいただけますと幸いです。

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