コラム技術コラム2023.12.08

Wireless InSite ver.3.4の新機能 ~RIS反射・透過板機能のご紹介~

Wireless InSite ver.3.4の新機能 ~RIS反射・透過板機能のご紹介~

~RISってなに??~

RISとは、Reconfigurable Intelligent Surfaceの略称で、電波を非正規方向に反射・透過できるメタサーフェスを指します。IRS(Intelligent Reflecting Surface)やEES(Engineered Electromagnetic Surfaces)とも呼ばれます。

RISを用いると、電波が伝搬する方向を従来の反射板よりも柔軟に操作することが可能となり、Beyond 5G、6G時代のカバレッジ設計での活用が期待されています。

 

~RISって役立つの??~

5G、6G通信では光のように直進性の高い周波数帯の活用が進められており、電波の伝搬方向を制御できるRISは障害物が多い環境でのカバレッジ確保に有効です。

”UAVや自動車などの自動制御”や”無線電力伝送と既存の無線システムとの共存”など、動的に伝搬方向を制御できるRISは幅広い分野での活躍が期待されています。

RISの活用シーン、ユースケース

 

~Wireless InSite ver.3.4の新機能 EES機能~

構造計画研究所では、多種多様な電波伝搬解析ツールを取り扱っております。今回は、その1つであるWireless InSiteにおいて、RISを取り扱える新機能「EES機能」がリリースされましたのでご紹介します。

EES機能は、Wireless InSite開発元のRemcom社とCommunications Research Centre Canada(CRC)により開発されたレイトレース法と物理光学近似法に基づくシミュレーション手法です。反射・透過方向などの特性を入力材質情報として、電波を非正規方向へ偏向するRIS反射・透過板を模擬することができます。

 

~屋外から屋内への電波伝搬シミュレーション~

EES機能を用いた一例として、下図のような屋外の送信機から屋内エリアへのカバレッジ評価をご紹介します。

電波は窓ガラスを透過して部屋の左側をカバーしていますが、右側の受信電力は低く、部屋全体に電波が届いていません。

屋外から屋内への電波伝搬シミュレーション

 

~RIS反射板の電波伝搬シミュレーション~

下図は、屋内左上の壁面にRIS反射板を設置したカバレッジ評価です。電波を正規方向から45度方向に偏向するRIS反射板を設置しています。RIS反射板を設置したことで、部屋の右側にもカバレッジが広がっています。

RIS反射板の電波伝搬シミュレーション

下図のように電力を拡散させるような設計のRIS反射板も解析できます。

電力を拡散させるRIS反射板の電波伝搬シミュレーション

 

~RIS透過板の電波伝搬シミュレーション~

EES機能では、RIS反射板だけでなく透過板の評価も可能です。下図では、窓ガラス部分に45度偏向するRIS透過板を設置しています。RIS透過板を設置したことで、部屋の右側にもカバレッジが広がっています。

RIS透過板の電波伝搬シミュレーション

RISについては、以下を参考にしています。

  • Y. Liu et al., "Reconfigurable Intelligent Surfaces: Principles and Opportunities," in IEEE Communications Surveys & Tutorials, vol. 23, no. 3, pp. 1546-1577, thirdquarter 2021, doi: 10.1109/COMST.2021.3077737.

 

以上、「Wireless InSite ver.3.4の新機能 ~RIS反射・透過板機能のご紹介~」でした。

構造計画研究所では、目的に合わせた多種多様な電波伝搬解析ツールを取り扱っております。レイトレース法が利用できる電波伝搬解析ツールは、以下をご覧ください。

構造計画研究所の電波伝搬に関する解析事例は、こちらをご覧ください。

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