コラム技術コラム2023.11.14

衛星測位シミュレーションとは?測位精度を予測する技術を紹介

衛星測位シミュレーションとは?測位精度を予測する技術を紹介

衛星測位システム(GNSS)とは

衛星測位システム(GNSS)とは衛星からの信号をもとに位置を決定するシステムであり、近年各国が以下のGNSSを構築しています。

  • Global Positioning System (GPS) : 米国
  • Global Navigation Satellite System (GLONASS) : ロシア
  • BeiDou:中国
  • Galileo:欧州
  • Quazi-Zenith Satellite System (QZSS、通称「みちびき」) : 日本

各衛星は高度約2万kmを周回し、測距信号を送信しています。GNSS受信機は測距信号から、衛星の位置と衛星との距離を推定し、受信機の位置を推定します。ただし、測距信号で測定した距離には、様々な誤差が含まれています。

衛星測位シミュレーションとは

GNSSの測位精度を予測するには衛星測位シミュレーションが有用です。一般的な衛星測位シミュレーションには以下の4つがあります。

①衛星飛来シミュレーション
②見通しシミュレーション
③マルチパスシミュレーション
④信号生成シミュレーション

各シミュレーションの特徴は以下のとおりです。

①衛星飛来シミュレーション

ある場所における衛星の配置を計算します。短い計算時間で精度低下率(DOP:Dilution Of Precision)等の評価が可能ですが、建物の影響を考慮できません。

②見通しシミュレーション

ある場所における衛星の配置と見通しを計算します。信号品質の良い衛星数とDOP等が推定できます。測位精度を予測する場合、簡易的に推定する必要があります。

③マルチパスシミュレーション

ある場所における建物を考慮した測位信号の受信状況を計算します。信号品質の良い衛星、DOPとマルチパス誤差量などが推定できます。アルゴリズムが公開されていない実機の場合、測位精度を予測する場合、簡易的に推定する必要があります。

④信号生成シミュレーション

ある場所における測位信号を生成し、GNSS受信機に入力します。GNSS受信機の出力が得られるため、アルゴリズムが公開されていない実機の精度予測できます。

測位精度予測について、クロック誤差、電離層遅延、対流圏遅延、偏波の特性、アンテナの指向性、マルチパス等、様々な要因が測距誤差を引き起こします。
③マルチパスシミュレーションでは、衛星から受信機までのマルチパスの伝搬経路ごとの受信信号強度をもとにマルチパス誤差を求めたうえで、その他の測距誤差を考慮した擬似距離を計算します。

衛星測位シミュレーション事例

衛星測位シミュレーション事例としては以下があります。
シミュレーションには衛星測位分析ツールGPS-Studioを使用しています。

● 衛星測位予報

任意のエリア、任意の地点の衛星測位の環境予測を行えます。

● RTK-GNSSの基準局設置検討

土木工事現場等における高精度測位RTK-GNSSの基準局配置を検討するために、基準局との高品質な衛星数を評価できます。

● 自動運転の走行実験コースの評価

国内外のあらゆる場所の走行ルートと時刻を指定し、想定される測位誤差を評価できます。テストコース、テスト時間の選定や、テスト後のデータ分析に活用できます。

● ドローンの飛行ルート検討

ドローンの飛行ルートと日時を指定し、想定される測位誤差を計算・プロットできます。高度による違いを確認し、必要高度を確認できます。

例として、弊社構造計画研究所(背の高いビル)の周辺をドローンが飛行した場合の解析例をご紹介します。

以上、「衛星測位シミュレーションとは?測位精度を予測する技術を紹介」でした。

構造計画研究所では、目的に合わせた多種多様な衛星測位シミュレータを取り扱っております。衛星測位シミュレータは、以下をご覧ください。
衛星測位シミュレーションのうち①衛星飛来シミュレーション、②見通しシミュレーション、③マルチパスシミュレーションは衛星測位分析ツール GPS-Studioが対応しており、④信号生成シミュレーションはGNSS信号ジェネレータ SDR-SATが対応しております。

構造計画研究所の位置測位に関する解析事例は、こちらをご覧ください。

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