コラム技術コラム2023.06.30

電波伝搬シミュレーション「レイトレース法」とは??

電波伝搬シミュレーション「レイトレース法」とは??

~電波とシミュレーション~

電波は、私たちの身近な多くの機器(スマートフォン、携帯電話、テレビ、カーナビなど)に利用されています。

電波は人間の目で見ることができないので、新しい無線システムの導入や既存の無線システムの検討時には、実験による検討が必要です。ところが、実験をあらゆるエリアで行うと多大な時間やコストがかかります。

電波伝搬シミュレーションは、見えない電波の伝搬経路を可視化して、効率よく無線システムの検討を行う手法です。今回は、電波伝搬シミュレーションの1つである「レイトレース法」について解説します。

~レイトレース法とは~

レイトレース法は、幾何光学近似に基づいて電波を光(レイ)に見立て、伝搬経路を求める手法です。送信点から受信点まで、電波が伝搬するにあたって障害となる建物などの構造物を考慮し、伝搬損失(受信電力)、電波の遅延時間、出射方向、到来方向などを算出します。

レイトレース法では、下図に示すような反射・透過・回折を伴う伝搬経路を探索して、様々な方向から到来するレイを考慮した結果をシミュレーションできます。

レイトレース法はレイトレーシング法と呼ばれる事もあります。

レイトレース法における伝搬経路(反射・透過・回折)

レイトレース法における反射・透過・回折のイメージ図

~レイトレース法の種類~

① イメージング法

送信点と受信点の間のすべての反射面の組み合わせから、反射・回折・透過を計算し、軌跡を求める手法です。
送信点から受信点に到達するレイを厳密に求めることができます。

② レイラウンチング法

送信点から一定の角度毎にレイを発射し、受信点に到達するレイを求める方法です。
この方法では、受信点の周りに一定の受信エリア(受信球)を設定し、その受信エリア内に到達したレイを受信点に到達したとみなします。イメージング法と比べ、受信点が多い場合に計算速度の向上が期待できる手法です。

イメージング法(左図)とレイラウンチング法(右図)

~レイトレース法の精度ってどのぐらいなの??~

電波伝搬シミュレーションは、数mから数km以内の伝搬特性評価に利用されます。レイトレース法は電波を光に見立てる近似手法のため、実測から数dB~10数dB程度の精度となることが一般的です。また、幾何計算によって電波の伝搬経路を求めるため、下図のような構造物などによる遮蔽の影響(シャドーイング)は精度よく捉えることができます。

レイトレース法で捉えられる伝搬特性(シャドーイング)

レイトレース法の精度については、電磁界解析「FDTD法」と比較を行った記事もあります。
興味のある方は、以下をご覧ください。
レイトレース法とFDTD法の比較(トンネル内電波伝搬)

 

以上、「電波伝搬シミュレーション「レイトレース法」とは??」でした。

構造計画研究所では、目的に合わせた多種多様な電波伝搬解析ツールを取り扱っております。レイトレース法が利用できる電波伝搬解析ツールは、以下をご覧ください。

構造計画研究所の電波伝搬に関する解析事例は、こちらをご覧ください。

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