ミリ波帯ローカル5G免許申請時の見通し判定によるエリア計算への影響評価

背景と目的

背景
  • ローカル5Gとは、通信事業者以外の企業や自治体等が構築・運用する5Gネットワークである。
  • ローカル5Gの発展には、無線通信の知識が豊富でなくても、必要最小限の情報から簡単に免許申請を行うことができる必要がある。
  • ミリ波帯(28GHz帯)のローカル5G免許申請では、基地局-陸上移動局間の見通し有無に応じて計算式の切り替えが可能であるが、どのように見通し判定を実施するかまでは定められていない。
目的
  • 見通し判定方法について複数のケースを比較し、免許申請により良い設定の検討を実施する。

 

使用する解析ソフト

  • 構造計画研究所では背景をふまえ、電波法関係審査基準[1][2]に準拠した免許申請用エリア描画ツール「KCAMP」を開発した。
  • 本事例では、免許申請用エリア描画ツール KCAMPと3次元電波伝搬シミュレータ Wireless InSite を使用する。

解析条件

  • 東京都中野区の幹線道路の交差点に基地局を配置する。
  • 送信機(基地局)はビル屋上(地上高45m)に配置し、受信機は高さ1.5mに5 m間隔でグリッド状に配置する。
図1:解析モデル
表1:解析条件一覧
項目
周波数 28.3 GHz
送信電力 0 dBm (1 mW)
送信アンテナ 指向性アンテナ(最大利得16.23 dBi)
半値角30°(E面/H面)
受信アンテナ 無指向アンテナ(最大利得20 dBi)
アンテナ偏波 垂直偏波
3Dモデル PLATEAU[3]
(見通し判定・レイトレース法及び結果背景画像に使用)
レイトレース法 反射 3回
回折 2回
透過 0回

解析結果

見通し判定を実施せずに、すべて見通しあり/なしの計算式を使用した場合
  • 電波法関係審査基準では、見通しあり/なしのいずれかの式でエリア計算を実施する。
  • 建物データを使用せず、対象範囲すべてを見通しあり/なしのいずれかの式で計算した場合の結果を比較した。
  • カバーエリアおよび調整対象区域は、同様の形状で広さのみが異なる傾向となることがわかった。
図2:電波法関係審査基準式の比較。(左:全て見通しとして計算、右:全て見通しなしとして計算。)
見通し判定を実施した場合
  • 建物データを用いて受信点毎に見通し判定を実施し、見通しあり/なしの計算式を切り替えてエリア図を作成した。
  • 見通し判定を実施することで、レイトレース法とほぼ同様のエリア推定結果が得られることを確認した。
  • 実環境の建物の影響を考慮することで、より実際に近い推定結果が得られることが期待される。
図3:見通し判定計算の比較。(左:電波法関係審査基準の式で計算、右:レイトレース法で計算。)

まとめ

  • 受信点毎に建物データのよる見通し判定を行うことで、実空間の影響を考慮したエリア推定結果が得られることがわかった。
  • 電波法関係審査基準に基づく計算には、免許申請用エリア描画ツール KCAMP を使用した。
  • レイトレース法による電波伝搬シミュレーションには、3次元電波伝搬シミュレータ Wireless InSite を用いた。

参考文献

  • [1] 平成13年総務省訓令第67号 電波法関係審査基準
  • [2] 令和元年総務省訓令第21号 電波法関係審査基準の一部を改正する訓令
  • [3] 国土交通省, PLATEAU https://www.mlit.go.jp/plateau/
  • [4] 江森洋都, 坂木啓司, 吉敷由起子, ”ローカル5G免許申請時の見通し判定による電波伝搬計算の影響評価”,2021信学ソ大,B-1-10,Sept.2021

 

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