スマートホームデバイスのトライバンドアンテナ最適化と住宅内Wi-Fiの接続性評価

背景と目的

  • スマートホーム機器のホームネットワーク接続が増えるにつれ、その接続に対する信頼性の要求が高まっている。特に、障害物が通信リンクを遮断するように移動するような環境でさまざまな接続をすべて維持するには、信号パスを操舵して接続性を高めるビームフォーミング機能を機器に持たせることが有益である。
  • この事例では、ホームネットワーク内のWi-Fiネットワークカメラとアクセスポイントについて、複数の周波数で動作するアレイアンテナのビームフォーミングパターンを最適化し、住宅内Wi-Fiのスループットを計算し評価する。

使用する解析ソフト

  • 3次元電磁界解析シミュレータ「XFdtd」
    XFdtd を使用してトライバンドアンテナの最適化を行う。
  • 3次元電波伝搬シミュレータ「Wireless InSite」
    XFdtd で最適化されたアンテナパターンを Wireless InSite にインポートし、住宅内のスループットを計算する。

解析の概要

  • アクセスポイント2台とネットワークカメラ3台を下図のように2階建て住宅に設置し、Wi-Fiスループットを計算する。

 

 

  • 3次元電磁界解析シミュレータ XFdtd を使用して2種類のWi-Fiデバイスのアンテナを解析・最適化を行い、求まったアンテナ放射特性を3次元電波伝搬シミュレータ Wireless InSiteにインポート・設置し、レイトレース法をベースとしたWi-Fiスループット計算を行う。
  • 下記にアンテナ解析と住宅内スループット解析の概念図を示す。

 

XFdtdによるアンテナ解析

  • 解析対象
    • 解析対象は2種類のスマートホームWi-Fiデバイスで、Wi-Fiアクセスポイントとリモートカメラである。それぞれWi-Fi動作帯域はトライバンド 2.4 GHz / 5.2 GHz / 6 GHz で、802.11 a/b/g/n/ac/ax 規格に準拠している。

 

 

  • アクセスポイント解析結果(Sパラメータ)
    • 下図Sパラメータグラフは、アクセスポイントに実装された2基のデュアルバンドアンテナのリターンロスを赤で、4基の5GHzアンテナを青で示している。使用される3つの動作周波数で良好な帯域幅とリターンロスが実現されている。

 

 

  • アクセスポイント解析結果(XFdtd アレー最適化機能)
    • XFdtd の Array Optimization を使用することで、フェイズドアレーアンテナのパフォーマンスを計算することができる。
    • 一例として、アクセスポイントの5GHzアレーのビームを30度から90度まで15度毎に操舵したパターンと最大値(Max Hold)の計算例を下記に示す。

 

 

  • アクセスポイント解析結果(アンテナパターン)
    • アクセスポイントの各周波数でアレー最適化を行ったアンテナパターン結果(最大値)を下記に示す。

 

  • リモートカメラ解析結果(Sパラメータ)
    • リモートカメラのリターンロスを下記に示す。

 

 

  • リモートカメラ解析結果(アンテナパターン)
    • リモートカメラの各周波数でアレー最適化を行ったアンテナパターン結果(最大値)を下記に示す。
    • カメラはランダムな場所・方向に取付けられる可能性があるため、アンテナの利得は全方位をカバーしていることが理想的である。しかし、汎用カメラにはプリント基板や支持構造などの内部部品があるため、例えばカメラ後方への利得は少なくなってしまう。
    • XFdtdのアレイ最適化機能を利用することで、アレイの性能を判断し、可能な限りのカバレッジを得ることができる。

 

 

  • 最後に、アンテナ放射特性の詳細、レイアウト情報をWireless InSight へエクスポートする。

 

 

 
 

Wireless InSiteによるMIMO電波伝搬解析

  • Wireless InSiteでは、シナリオの設定、電波伝搬解析実行、信号処理を以下のフローで実施する。
  • 本稿では、電波伝搬解析の周波数は5.2 GHzとして解析した例を示す。

 

  • XFdtdの結果をWireless InSiteにインポートし以下のフローで電波伝搬解析を実行できる。

 

  • 電波伝搬解析結果(信号と雑音の比:SNR)

 

 

 

  • 電波伝搬解析結果(1階から2階へ移動した場合の信号強度変化)
  • 下図のように、階段に沿って受信点を移動させた場合のSNRの強度とスループットの変化を確認することができる。

 

 

 

まとめ

  • 電磁界解析ソフトXFdtdと電波伝搬解析ソフトWireless InSiteを用いて、Wi-Fiネットワークカメラとアクセスポイントのアンテナパターンから住宅内Wi-Fiのスループットを計算し評価した。
xfdtd
wirelessinsite

お問い合わせ

関連情報

CONTACTお問い合わせ

一般的なシステム開発に加え、物理層からアプリケーション層まで通信システム全般について
お困りの際はぜひ一度私たちにお問い合わせください。