点波源を用いた解析
平面波を用いたRCSの解析だけでなく、点波源を用いた解析も行うことができます。
点波源を用いて計算する場合のメリットは、送受信点を点として自由に配置できることにあります。WaveFarerはアンテナパターンの設定が自由自在で、基本的なアンテナだけでなく、ユーザ定義の任意のアンテナパターンも入力できます。
点波源を用いる場合は、送受信点の位置と、送受信アンテナの諸元や送信電力を設定して計算します。下図に簡易人体モデルを解析対象とした場合のモデルの配置について示します。
WaveFarerの画面では、解析対象とするモデルと点波源およびそのアンテナパターンを表示することができ、アンテナと解析対象との位置関係や、アンテナをどの方向に向けているかを三次元的に分かり易く確認することが可能です。
受信電力、伝搬損失、遅延広がり等
周波数領域の解析結果として、Received Power(受信電力)、Path Loss(伝搬損失)、Path Gain(伝搬利得)、Delay Spread(遅延広がり)などが出力されます。レイトレース法を用いたシミュレータとして基本的な結果は全て取得することができ、各パスにおける伝搬パラメータを確認したり数値解析することができます。
遅延プロファイル(Complex Impulse Response)
時間領域の解析結果として、Complex Impulse Responseも出力されます。こちらに関してもRCS解析と同様に時間分解能は0.001 nsであり、非常に細かい時間分解能で確認する事が可能です。
伝搬パスの視覚的な確認
また、計算した伝搬パスも三次元的に分かり易く、視覚的に確認出来ます。WaveFarerは数値上の結果だけでなく、電波の散乱現象の理解にも役立ちます。
レンジドップラープロット
ミリ波レーダー解析ツールとして必須である、レンジドップラープロットについても出力が可能です。
例えば、図のように車両、道路およびガードレールを設置し、車両の先頭にレーダを設置するケースを考えます。レンジドップラープロットを出力するためには、自動車等の動的な物体が動くことを想定してシミュレーションを行う必要があります。WaveFarerではParameter Sweep機能により、車両の位置をパラメータで設定します。動的なシナリオを非常に簡単に設定することが可能です。設定した動的なシナリオは、アニメーションで確認することが可能です。
続いて、シミュレーションにより出力したレンジドップラープロットの結果が下図です。レンジドップラープロットは、相対速度に対するターゲットの距離を確認することができます。この図から、前方の車両およびガードレールの位置関係を把握することができます。
レンジドップラープロットを作成する過程で、FMCWレーダに関するIQ信号、Sパラメータ等も合わせて出力することが可能です。
レンジドップラープロットについては、こちらの記事でも紹介しておりますので、ぜひご参照ください。