5Gのためのフェーズドアレイアンテナのビームフォーミング解析

背景と目的

背景

  • 近年、5G技術基盤を支えるアンテナとして、フェーズドアレイアンテナの利活用が増えている。
  • フェーズドアレイの解析では、各素子の位相と振幅を設定し、そのビーム方向と強度を分析することが必要となる。
  • 本稿では、パッチアンテナアレイをモデルとして解析を進める。

目的

  • FDTD法を使用することで、各素子の位相と振幅を変化させたパッチアンテナアレイの電磁界解析を行う。
  • 実行輻射電力(EIRP)の累積分布関数(CDF)を作成し、放射パターンが0dBi以上の強度を持つ表面積を計算する。

使用する解析ソフト

  • 3次元電磁界シミュレータ XFdtd を使用する。

解析結果

放射パターン

  • 各素子の位相が同じ場合の8×8パッチアンテナアレイの放射パターンを示す。
  • 位相が同じ場合は鉛直方向にビームが向いている。
図1-1.png
図1-2.png
図1:3次元と2次元の放射パターン

位相制御

  • ビーム方向が(20°,90°)になるように位相差を設定した放射パターンを示す。
図2.png
図2:ビーム方向(20°,90°)
  • ビーム方向が(40°,45°)になるように位相差を設定した放射パターンを示す。
図3.png
図3:ビーム方向(20°,90°)
  • ビーム方向を(0°,90°)から(50°,90°)まで10°刻みで変化させたときの放射パターンの変化を示す。
図4.png
図4:ビーム方向を変化させたときの放射パターンの変化

実行輻射電力(EIRP)の累積分布関数(CDF)

  • EIRPはアンテナがある方向に放射できる電力の尺度を与える。
  • CDFを用いてアンテナの放射パターンが0dBi 以上の強度を持つ部分の表面積を計算する。
  • 入力電力は一般的なモバイルデバイスを参考に23dBmWとする。
  • 8x8アレイのCDFを調べると、23dBmWの面積は0.225となった。すなわち、残りの0.775(77.5%)の領域は正の利得(0dBi以上)として使用可能となる。
図5.png
図5:8x8アレイにおけるEIRPのCDF

まとめ

  • FDTD法を使用して、パッチアンテナアレイの位相制御された放射パターンを計算した。
  • EIRPのCDFを用いて、放射パターンが0dBi 以上の強度を持つ部分の表面積を計算した。
  • 電磁界解析ツール XFdtd を用いた。

お問い合わせ

関連情報

CONTACTお問い合わせ

一般的なシステム開発に加え、物理層からアプリケーション層まで通信システム全般について
お困りの際はぜひ一度私たちにお問い合わせください。