- 次に、レイトレース法をベースとしたWaveFarerを使用してミリ波帯までの周波数範囲(80GHzまで)におけるRCSを解析した。WaveFarerはレイトレース法にPO(物理光学近似)を加えることで比較的高精度な電波伝搬解析を実行することができる。
- 解析で使用する人体モデルは以下となる。レイトレース法に使用するモデルは面で構成されている必要があるため、今回はWaveFarer用に構築されたこちらのモデルを使用する。FDTD法で使用した人体モデルとサイズ感は同じものの、姿勢や電気特性が若干異なることには注意が必要である。
- WaveFarerにより求めたRCSは以下となった。オレンジがWaveFarerのRCS、青がFDTD法のRCSである。(FDTD法の計算結果は6.5GHzまで)
- FDTD法の解析と同様、RCSは人体の正面の値を計算している。
WaveFarerによるRCSの解析結果(縦軸:RCS[dBsm]、横軸:周波数[GHz]) 水平偏波
WaveFarerによるRCSの解析結果(縦軸:RCS[dBsm]、横軸:周波数[GHz]) 垂直偏波
- 両偏波とも6.5GHzまでの結果はFDTD法と近しい結果が得られた。各周波数での値のばらつきもFDTD法の結果と同程度に収まっていることが確認できる。
- 先行研究[2]による報告値は0 dBsm(10GHz)、2 dBsm(24GHz)、6 dBsm(79GHz)となっており、こちらも同程度のオーダーとなっている。
- これらのことから、WaveFarer用に構築された人体モデルをミリ波帯におけるRCS解析に使用することで、FDTD法の計算値や実験値と近しい結果が手軽に得られることが期待できる。