コラム技術コラム2024.07.09

OAIBOX40を使ってスマホで動画視聴してみた
〜無線通信でインターネット接続もできます~

OAIBOX40を使ってスマホで動画視聴してみた <br />〜無線通信でインターネット接続もできます~

Beyond5Gに向けた新しい無線通信技術の社会実装には、実機を用いた検証実験が必要不可欠です。本記事では、Allbesmart社製OAIBOX 40を使った、5G無線通信によるスマートフォンのインターネット接続実験についてご紹介します。

実験準備

本実験は無線通信実験であるため、電波を遮断するシールドテント内で実施しました。

5Gネットワークは、ユーザ端末(UE)・基地局(gNB)・コアネットワーク(CN5G)・インターネットを含むデータネットワークで構成されています。本実験に使用したUEはGoogle Pixel 6(OSはAndroid 12)、gNBとCN5Gはその両機能を搭載したオール・イン・ワン5G基地局「OAIBOX 40」です。

UEの事前準備としては、SIMの設定、アクセスポイント名(APN)の設定が必要です。まず、UEにOAIBOX専用のSIMカードを差し込んでおき、「ネットワークとインターネット」の「SIM」の設定画面で「OpenAirInterface」を選択します。次に、APNの設定画面で、新しく以下の設定のアクセスポイントを追加します。([図1]参照)

  • 名前: 未設定 → OpenAirInterface
  • APN: 未設定 → OpenAirInterface
  • APNタイプ: 未設定 → default
  • APNプロトコル: 未設定 → IPv4/IPv6
  • APNローミングプロトコル: 未設定 → IPv4/IPv6
  • ベアラー: 指定なし → NR
  • MVNOの種類: 未設定 → なし

図1. UE設定画面

設定が完了したら、UEから電波を発しない状態にするため、機内モードに設定しておきます。

OAIBOX 40については、まず(インターネットに接続するための)LANケーブルを接続しておきます。あとは、OAIBOX 40に無線通信用のアンテナを装着し、電源を入れて任意のPCでダッシュボード画面を表示さえすれば、gNBとCN5Gの起動と停止はクリック一つで操作可能な状態となります。

無線通信接続状況の確認

実際の動作画面を見てみます。ダッシュボードの画面は[図2]の通りです。

図2. OAIBOXダッシュボード CN5G/gNB起動時画面

画面左下のCN5GとgNBの下のstartボタンをクリックするとそれぞれが起動し、5G無線通信環境が構築されます。中央が5Gネットワークの各機能(“NG-RAN”がgNB、それ以外がCN5Gの各NF(ネットワークファンクション))の起動状況を示しています。起動が完了していると"Healthy(緑色)"、停止していると"Stopped(赤色)"で表示されます。CN5GとgNBの起動後に、UEの機内モードをoffにして5G通信環境に接続完了すると、その下にIMSIとしてUEが表示されます。UEの接続状況も、アタッチ状態は緑で、デタッチ状態であれば赤で表示されます。

[図3]の左側の図では"IMSI"のアイコンが2つ表示されており、2台のスマートフォンが接続中であること、左側のUEがデタッチ状態、右側のUEがアタッチ状態であることが確認できます。アタッチ状態のUE側の画面も見てみると、[図3]の右側の図のように、5G環境に接続されていることが確認できます。

図3. (左)OAIBOXのUEとの接続状態 / (右)UE画面上の基地局との接続状態

動画の再生

5G環境への接続が確認できたところで、インターネット接続を試みました。今回はYouTubeで動画を再生してみました。

図4. 再生したYoutube動画

結果

実際にYouTubeで動画を再生し、5Gの無線環境を介してインターネット接続が可能であることを確認しました。ダッシュボード([図3]の左側)で任意の"IMSI"アイコンをクリックすると、そのUEのRSSI(受信信号強度)やBitrateなど、通信品質を表す各種指標のリアルタイムなモニタリングが可能です。([図5]参照)

図5. UE通信状況のリアルタイムモニタリング画面

最後に

今回の実験では、デフォルトで設定された帯域幅やTDD方式等の値を使用しましたが、この値はOAIBOX 40のダッシュボード上からプルダウン式に選択し、変更することも可能です。実験のパフォーマンスデータをリアルタイムで収集し、研究結果を迅速に記録・分析できるツールとしてのOAIBOX 40を使用した実験のご紹介でした。ご参考になれば幸いです。

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